韻踏み
Mr.Childrenというバンドの面白味のひとつに桜井和寿による露骨な韻踏みがある。そのなかでも個人的に大好きなダークロックナンバー『DANSING SHOES』のBメロでの露骨な韻踏みを語りたい。
イントロから不穏なギターリフが続き、悲観的な歌詞が続く。そして1分20秒あたりのBメロから流れが変わる。
・1番
『後退りしたり(tari)』(並列助詞)
『地団駄踏んだり(dari)』(並列助詞)
『何このくだり!?(dari)』(形容名詞)
・2番
『サルバドール・ダリ(dari)』(名詞)
『ってちょっとグロくない?(nai)』
『普通じゃない感じがいい(gaii)』
『ari』『dari』『ai』で韻を踏んでいる。
徐々に韻踏みがステップアップしているのにお気づきだろうか。
・『したり』から『踏んだり』
同じ並列助詞だが、「たり→だり」 と濁音が付く。
・『踏んだり』から『くだり』
同じ"dari"
しかし「並列助詞→形容名詞」と変化球。
・『くだり』から『サルバドール・ダリ』
またもや同じ"dari"
しかし「形容名詞→名詞(人物)」に変化。
これは露骨。
・『サルバドール・ダリ』から『グロくない?』
ここで癖強めの変化球。
「"dari"→"nai"」 "a i"で韻を踏んでいる。
・『グロくない?』から『感じがいい』
「"nai"→"gaii"」ここでも"a i"で韻を踏んでいる。
この2つは意外と気付きにくいかもしれない。
そしてトドメの
・『We were born to be free.』
フリー("hurii")とこれまでの"i"が掛かっている。
なんなら『後退りしたり』『地団駄踏んだり』『何このくだり』『サルバドール・ダリ』の"ri"に『free』掛かっている。
初めて聴いた時は衝撃が走った。
『We were born to be free.』も踏んでいるのに気付いたのは追々だったが。
これら格段の韻踏みこそ、普段のMr.Childrenに散りばめられている言葉遊びなのだと思う。
流石、元落語研究会。